フタキ鉄工の実力:事例紹介

事例05:“360°微風をとらえろ”…ハイブリッド風力発電「F.W.P.S.」

F.W.P.Sは風力発電に太陽光発電を備えたハイブリット型発電機。
風力発電は風が吹かないとき、太陽光発電は曇りや雨・夜間は発電できません。F.W.P.Sはそうした互いの負特性を補い合う効率の良いハイブリットシステムです。
また360度すべての風をとらえる羽根の設計は、弱い風にも良く回る安定出力を可能としています。
自家発電なので設置場所も選ばない風力発電機です。


製品概要

仕様等
標準サイズ W 1,200×D 1,200×H 6,000
高さは変更可能です。
仕様等
標準サイズ W 1,200×D 1,200×H 6,000
高さは変更可能です。

開発のきっかけ ―始まりはここから―

30年前のモデル。材質は「木」。

 私たちフタキ鉄工は、もともとコマツ様の下請け会社として長い間お仕事をさせていただいているのですが、そんな中、これからは“下請け”という概念から“モノづくり”という概念にも視点をおく必要があるのではないかという思いに至りました。

 日本中に沸きあがる環境ブーム。資源の少ないわが国では自然エネルギーの活用というところに着目せざるをえず、風力、太陽光といったエネルギーを利用する傾向も強まってきました。
 そこで我が社も、この二つのエネルギーを利用できる仕組みが出来ないか、というところに着目して試行錯誤を始めたのです。

試作1号機
 そんな中、地元の学校の元校長先生が30年前に考えた“風車のモデル”のことを思い出し、それが場所をとらない自家発電式というお話を聴いて、弊社では風力発電機の試作機開発に取り組んでみることにしました。

 弊社の設計者が、プレス開発で培ったノウハウを活かして風力発電機の図面を作成、現場スタッフの有志たちが試作機を完成させました。
 この試作機を約1年間、自然のなかで動かしてみた結果・・・少量の電気しか発生しませんでした。その値は、せいぜい10W~20W程度と全く使い物にはならないという数字。

 なぜだろう、いったい何がいけないのだろう・・・???


新しいプロジェクトの発足

 “あきらめない精神”を鍛えられている私たちフタキ鉄工。新たにプロジェクトを結成し、風力発電機の改良に向けて根本的に問題点を洗い出すことから始めよう、ということになりました。

 組織されたのは、フタキ鉄工から設計と製造スタッフ、協力企業の電気工事会社の方、石川県から工業試験場の方、そして工業デザイナーの先生と総勢10名のメンバー。ありとあらゆる方向からのアドバイスとご協力をいただき、試作2号機に取り掛かることになりました。

 時代はリーマンショック真っ只中。当社もこれまでの生産量が激減、これからの世界情勢もどのようになっていくかわからないという状況で、弊社も試験開発費用を出すことがつらくなってきているときでもありました。しかし、この100年に一度の大不況から『モノづくり助成金』という制度が立ち上がり、今回の風力発電機の試験研究に関わる開発費用を助成していただくことが出来たのです。

 試作2号機の開発にあたり、まず着手しなければならなかったのは風の問題でした。

 風力発電装置を開発する上での最大の課題は、国内の風力状況や設置環境にあった装置の構造。国内の平均風速は、2m/s弱。微風に近い風速でも高出力が得られることが必要不可欠でした。
 さらに、季節や時間帯、設置する環境などにより目まぐるしく変化する風向きに対しても安定した出力が得られること、加えて、狭い敷地でも効率よく発電できる省スペース型であることを大きな目標に設定し、開発を開始しました。

 この風の問題を解決したのは、風の力を最大限受け止める4枚の大きなブレード(400mm×1,550mm)。常に風の流れに効率よく作用する独自の垂直効力型の機構開発に成功しました。この方式には、このクラスで多く採用されている垂直軸型ジャイロ方式に比べて回転速度が低く抑えられるため、回転バランス調整や強度、軽量化などの遠心力対策が容易となり、安全性も確保しやすくなるという利点があります。
 最終的には、この新開発の風力発電装置に無風時の発電を補助するソーラパネルを組み合わせ、ハイブリッド発電方式とすることにしました。

 こうして完成した試作機2号機は、最初の発想から約5年の開発期間を経て、現在に至ります。
 現在では平均して安定した電力(300W)を確保し、既に2年間自然の中で稼動しています。今でも毎日風力と発電量をチェックし、工業試験場の方と一緒に新たな仕組みを考え続けています。

 そして2012年5月、商品化1号機の納品へと繋げることが出来ました。


F.W.P.S.はこんな場面でのご利用に最適です

納入商品 第1号機
究極の省エネタワーサイン、消費電力ゼロ・電気代不要の内照型タワーサインとしてご利用いただいております。
※「高さ」「外照型・内照型」等、何なりとご相談下さい。

 F.W.P.Sは360度すべての風をとらえる設計になっており、あらゆる角度からの風も捉える羽根の設計は弱い風にも良く回り、安定出力を可能としています。

  1. 非常用電源として
    災害時などの停電時に非常用電源として活用することが出来ます。
    売電を考えない自立完結型発電装置です。
  2. 安心・安全設計
    ジャイロ型に比べ低速回転であるため遠心力対策が容易。
    台風などの強風のときでも、羽根が回り過ぎないようにブレーキがかかるため安心です。
  3. お客様の用途に合わせた設定が可能
    自立型街路樹照明、サイン照明(タワーサイン)など、お客様の用途に合わせた設定が可能。地球環境に対する積極的な取り組みは、企業評価を高めることにも繋がると考えます。
  4. 公園・学校のシンボルタワーとして
    F.W.P.S.に時計などを組み合わせることで、子供たちへの帰宅時間を知らせるなど地域の防犯に役立てることも可能。また子供の環境への関心を育てる教材になります。

今回のプロジェクトに御協力いただきました方々

工業デザイナー:(株)コボデザイン 山村社長様、熊沢専務様
石川県工業試験場:上田様、田村様
制御担当:(株)サカイ電工 坂井社長様、小林様
フタキ鉄工:設計田中、竹内、明見、飯田

御協力ありがとうございます。